現在保育士として働く方の中には、担任ではなくフリーとして保育に入る方がたくさんいます。
フリー保育士として働く中で、担任の時とは違う悩みが生まれてくることは確かです。
フリー保育士ってどんなことをするの?
フリー保育士と担任の動きの違いは?
実は、フリーであるからこそ得られる子どもとの信頼関係も存在します。
今回は、フリー保育士の役割をご紹介し、さらには私個人の考えにはなりますが、フリーの動き方のコツというものもお伝えしていきます。
これからフリー保育士としてお仕事をされる方にとっての参考になればいいなと思います。
これを読めば、少しレベルアップした働き方ができるかもしれませんね!
※未満児クラスの経験がないため、以上児クラスのフリー保育士の動き方記事になります。
フリー保育士の役割
フリー保育士は担任ではないため、どのクラスに入るかが基本的には決まっていないという園もあります。
反対に、基本的に入るクラスは決まっているという場合もあります。
パターンとしては
- 毎回「〇〇先生(フリー)は本日◆◆◆組の補助に入ってもらいます」と出勤時に伝えられる。
- 時々「◯◯先生(フリー)は、本日▲▲▲組の担任の先生が振休のため、その部屋に入って保育をしてもらいます」と、事前or出勤時に伝えられる。
- 基本的にサポートに入るクラスは決まっており、時々上記の1・2のような形で伝えられる。
- あるクラスでトラブルがあり、担任がそのクラスに入ることができない場合に、突然上記2のように一人で保育をする形になる。
- 基本的に職員室等で行事の準備や製作の準備、職員室の事務作業の手伝い等を行い、必要に応じて人が欲しいクラスにサポートに向かう。
上記のように、フリー保育士の入り方にはいくつかパターンがあります。
要するに、その日・その時によって臨機応変に動く立場であるということです。
フリー保育士が補助の立場でクラスに入る際の役割
では実際、フリー保育士が補助(サポート)としてクラスに入る際の動き方についてお話しします。
最初に、年齢や人数によって動き方が変わる場合があるため2つのパターンを提示しておきましょう。
1、年少クラスに入る場合・・・担任1名、副担任1名、フリー1名の、計3人
2、年中以上に入る場合・・・担任1名、フリー1名の、計2人
年少クラスでのフリー
年少クラスに入る場合は、フリー含め3人が多いです。
または担任・副担任のどちらかが休みで2人になる場合や、フリーが2人入って4人の場合もあります。
3人以上の場合、子どもたちに対して手厚く対応することができます。
- 活動中、お漏らしをした子への対応
- 活動中、不機嫌になってしまい担任の話を聞かなかったり、活動に参加できなかったりする子への対応
- 活動中、子どもたちの取り組む様子を見守り、必要に応じた援助
- 給食前に子どもたちがトイレに行っている間の配膳の準備
- トイレのペースがゆっくりな子への付き添いや対応
- 障がい児等で加配が必要な子への対応
など・・・
これらはフリーが率先して対応していく方がいいです(加配が必要な子に関しては担任と要相談)。
しかし、これらはフリーだけでなく、元々は副担任の動きというのが正しいと思います。
副担任は、担任が全体をまとめたり誘導したりしている間に、何らかの理由で集団行動から外れてしまっている子を援助していく立場にあります。
この副担任の動きをする人がもう一人いると思ってください。
とにかく年少クラスは保育士の人数が必要で、数が多ければ多いほどありがたいです。
フリー保育士は、サポート要員として大切なのです。
年中以上のクラスでのフリー
一方で、年中以上のクラスに入った場合のフリーの動き方は少し異なります。
- 準備を含め活動内容が濃く、時間のかかる活動の補助や、安全性の確保が必要な活動の補助
- 活動中、子どもたちの取り組む様子を見守り、必要に応じた援助
- 障がい児等で加配が必要な子への対応
など・・・
年中クラス以上は、基本的に子どもたちのサポートよりも活動のサポートがメインになってきます。
なぜならその年齢の子どもたちは、自分のことは自分で行う力が育ってきているので、むしろサポートをし過ぎてはいけないからです。
そのため、基本的に年中以上のクラスで副担任が入ることはほとんどありません。
年中以上のクラスでフリーが入る際は、余程担任が一人で進めていくのは厳しい活動内容の時くらいです。
しかし、基本的に担任一人が進められるように活動内容を調整するため、フリーが入る場合はほとんどありません。
あるとすれば、担任となった新任保育士が仕事に慣れるまでの数ヶ月間は、フリーが補助に入る可能性があります。
余裕のある保育ができると子どもたちの育ちも伸びるので、年中以上のクラスでも日頃から保育士2人体制になる園が増えたらいいですね。
フリー保育士の動き方のコツ
フリー保育士の役割がある程度分かったところで、ちょっとしたコツをお伝えしていきたいと思います。
これは私自身が意識していることであり、この動き方ができる人は、担任にとってすごく大きな存在に思えることでしょう。
コツとは、ズバリこの5つです!
では、具体的にどのようなことなのか説明していきましょう。
視野を広げる
視野を広げるとは物理的な意味合いと、思考的な意味合いがあります。
まず物理的な意味合いでは・・・保育士の立ち位置に関してです。
視野が狭くなるような立ち位置にいると、子どもたちの様子を把握するのに遅れが出てしまいます。
たとえば、泣き声を出さずにシクシクと泣いている子がいるとします。
目の前にいたらわかりますが、自分より後ろにいたり人や物の影に隠れていたりしたら気づきにくいですよね?
基本的に保育士は、子どもたちに背中を向けた状態で留まらないようにしましょう。
もちろん子どもたちが自由に動いて遊ぶ時間は、保育士の背後に子どもたちが移動してしまうこともあるため、絶対ではありません。
ですが、保育士が室内の真ん中に座って子どもたちと遊ぶのと、端の方で遊ぶのはどちらがいいでしょうか?
上記のように、真ん中の位置は見えない範囲が広くなります。
しかし、端にいることで死角がほとんどなくなり、全体がよく見えるようになりますよね。
このように、自分の立ち位置をよく考えて保育をしていく必要があります。
では次に、思考的な意味合いでは・・・いろいろな角度から物事を捉えて行動することに関してです。
簡単にまとめると、何でも大人の思考で決めつけないことです。
子ども同士のトラブルで、泣いている子(A子)が被害者で、怒っている子(B男)が加害者であるという認識は正しいとは言えません。
もちろんそれが正しいこともありますが、A子がB男のおもちゃを奪ってしまい、それをB男が「やめて」と注意したら驚いてA子が泣いてしまったという場合もあります。
このように、子どもの現状だけを見て判断してしまうのは
『局所的に物事を捉えてしまっている』=『視野が狭い』ということになります。
勝手にトラブルの内容を決めつけて、無理矢理解決させた状態で担任に報告すると、担任が保護者に話した後に、「うちの子はこのように言ってましたけど?」と先生に対する不信感を抱く形にもなりかねません。
勝手に決めつけず、子どもたちから話を聞いて寄り添う対応ができるフリー保育士を目指しましょう。
特にフリーであれば、担任よりも心に余裕をもって子どもとかかわることができるはずです。
フリーの強みを活かしていきましょう。
保育中の担任の言動を気にかけ、次の流れを把握して動く
担任の発言を気にかけ、次は何をするのかを理解してサポートをすることが大切です。
担任から指示されたことだけを行うのではなく、指示がなくても自分で考えて行動しましょう。
『今は担任がああいう動きをしているから、私はこっち側でこういう動きをするぞ』
というように、考えられるといいですね。
たとえば、製作活動でのりを使う場合。
私が今まで勤務していた2つの園では『のり雑巾』というものを活用します。
保育中、のりを使った指はべたべたになるため毎回子どもたちが水道に移動していては大変です。
1つだけ貼ったら活動が終わりという場合は、貼り終わった子から手を洗ってねと移行します。
しかし、貼ってからでないとクレパスで模様を描けない作品など、場合によってはのりの活動が最後ではないものもあります。
そういった時に、担任が説明をしている間にのり雑巾を水に濡らして準備しておくと、サポートの立場として良い動きだと言えます。
私個人としては、「◯◯の準備お願いします」と言われてしまったら、
「あ。気づけなかった。悔しい。次は言われる前に動こう」と考えます。
最初のうちは気づけないことは多いと思いますが、徐々に担任との呼吸が合い、サポートしやすくなると思いますよ。
反対に、よく考えずにいつもと同じ行動ばかりをするのは良くないです。
『今日もいつも通り、これの後がこれでしょう』と勝手に決めつけてしまうことです。
たとえば、普段は給食の後に机を片付けて掃除をし、終えたら机を戻しているとします。
いつものように机を戻した後に担任が「午後の活動はお遊戯のお稽古なので机戻さなくて大丈夫です!」と話してきたとしたら『しまったー。余計なことしたー。』となりますよね。
担任も余裕があるわけではないので、毎回フリーに指示をしてくれるわけではありません。
午後の活動で何をするかわからないならば、机を戻す前に聞けばいいですし、事前に知っていたなら何も言われなくても机を戻そうとしないですよね。
ぼーっとしていつも通りに動こうとするとこういうミスも起こるので、効率よく進めるためにも頭をよく使って行動していきましょう。
他の保育士と近い場所で留まらない
これはよくある光景ですが、外遊びの時間に保育士同士が長時間話し込んでいる姿が見られます。
明日の活動はどうしたらいいか、あの行事の進め方は・・・など
相談したいことが山ほどあるのは分かりますが、その間に子どもたちがトラブルを起こしてしまっていても気づきにくいです。
また、死角が増えます。
そのため、できるだけ保育士は死角を減らすためにも散らばる必要があります。
室内でもたまにありますが、保育士が偏った位置に留まっていると死角が増え、子どもの困り感にすぐ気が付くことができません。
フリーは、担任が子どもたちの指導に回る際、担任の動きに合わせて適度な距離をあけて行動するようにしましょう。
そして、一定の場所に留まり過ぎると担任はその場所に行きにくくなるため、担任の動きを見ながら自分が移動していくと、素晴らしいサポートになると思います。
自分のクラスばかりでなく、他クラスの動きを気にしつつ、必要に応じて動く
自分の入っているクラスが大変な時は仕方ないですが、もしも活動内容的に3人も必要ないという時は、隣のクラスや別学年の動きを気にしつつ、人が足りていない場所に行くこともフリーの役割です。
周りを少し見てきて、大丈夫そうであれば本来のクラスに戻ってゆっくり保育に参加すればいいと思います。
こういった動きができると、別クラスの先生からも『◯◯先生とてもありがたいわ』なんて評価が上がり信頼度もアップします。
「私がやります」という気持ちで保育に入る
これは、指示されてから動くのではなく、『自分からやりますよ』という意思表示を示すようにすることです。
たとえば、お漏らしをしてしまった子を担任が発見したとします。
担任がその子の対応をしていたら次の活動に遅れが出てしまうこともあるため、たとえ最初に発見していないとしても、フリーが代わってあげることが大切です。
フリーは全体の活動を進める立場にはないので、自分の手が空いているならば、自分のできることは率先して代わってあげるようにしていきましょう。
フリー保育士と子どもたちとの信頼関係
フリーは担任よりも子どもとの信頼関係を築きにくい?
答えは、NOです。
もちろん担任はそのクラスの子どもたちにとって、とても大きな存在です。
同じように1年間一緒に過ごしていても、結局は担任が一番で、フリーは忘れられがちな存在であることは確かです。
しかし、フリーであるからこそ築ける信頼関係もあります。
むしろ、ある一定の子にとっては担任よりもフリーの方が早く信頼関係を築くことができる場合もあります。
その一定の子というのは、集団行動から外れやすい子や発達障がいの子などです。
フリーは、その子との時間を十分に作ってあげられる存在なので、全体を動かしていかなければいけない担任よりも、個々に沿ってかかわりを深めていきやすいのです。
担任も活動中は難しくても、外遊びなどの自由時間にそういった子とかかわりをもって信頼関係を深めていくように動いているはずですが、どうしても活動中はフリーの先生に任せてしまうことが多いでしょう。
フリー保育士がそういった子たちとの信頼関係を築いていき、担任に『その子はこういったことを話したり褒めたりすると受け入れてくれるよ』等と情報を話し、バトンタッチしていくのです。
忙しい担任にとって、そういったサポートをしてくれるフリーはありがたいと感じてくれるはずですよ。
まとめ
フリー保育士の役割、動き方のコツはお分かりいただいたでしょうか。
この記事を読むと、フリーって考えること多すぎて大変じゃん。
と思いますよね。
確かによく呼び出しがありますし、何でも屋なところもあります。
しかし、担任・副担任と比べれば責任の重さが違いますし、心のゆとりも感じられながら保育にかかわる瞬間も多いです。
何より子どもの話をしっかり聞いてあげることができ、深いかかわりをもつことができるのです。
それがフリーの強みであり、保育士としてのやりがいだと私は思います。
私自身は担任もフリーも経験しましたが、どちらにも良いところがあるので、どちらがいいとは一概には言えません。
でも、子どもの話をじっくり聞いてあげたい方や、心にゆとりを持って保育をしたい方は
フリーをオススメします。
ぜひ、現在フリー保育士の方も、これからフリー保育士として働く方も、自分の保育感を見つめ直して頑張ってみてくださいね!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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