食物アレルギーのある子どもへの代替食と対応とは?

保育

近年、食物アレルギーの症状がでるお子さんが増えています。

保育現場でも給食の有無にかかわらず、食物アレルギーをもつ子どもへの対策を講じています。

ぽてと
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具体的にどんな対策をしているの?

保育現場に携わっていなければ、どんなことをしているか分かりませんよね。

ここでは、実際に保育現場で行われている食物アレルギーへの対策を具体的にお伝えしていきます。

この記事を読めば、食物アレルギーをもつお子さんの保護者の方でも、安心して保育施設に入園できるきっかけになるかと思います。

また、現在保育士の方や、これから保育士を目指す方にとっても参考になれば嬉しいです。

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この記事を書いた人

20代主婦。教育大学保育専修を卒業後、幼稚園教諭の仕事を4年間勤め、結婚と引越しを機に退職。
その後、こども園でパート保育士として勤める。

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食物アレルギーとは

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ぽてと
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そもそも食物アレルギーってな〜に?

私たちの体には、有害な細菌やウイルスなどの病原体から体を守る「免疫」という働きがあります。

食物アレルギーはこの「免疫」が本来無害なはずの食べ物に対して過敏に反応し、体に有害な症状が起きる状態のことをいいます。

(中略)

免疫反応を調整する仕組みに問題があったり、消化・吸収機能が未熟だと、食べ物を異物として認識してしまうことがあります。

それによって起こるアレルギー反応が「食物アレルギー」です。

https://www.miraizaidan.or.jp/allergy/about.html 「ニッポンハム 食の未来財団」

食べ物を食べると、腸から吸収されたアレルゲンが血液にのって全身に運ばれるため、眼・鼻・のど・肺・皮膚・腸などさまざまな部位で症状が現われます。

食物アレルギーは、食べ物を食べた時だけでなく、触ったり吸い込んだり、注射液に含まれる食物抗原が体内に入ったりした時にも起こります。

https://www.miraizaidan.or.jp/allergy/about.html 「ニッポンハム 食の未来財団」

上記からわかるように、消化機能が未熟な小さい子どもは食物アレルギーの症状が出やすいです。

また、食べるだけでなく、触ったり吸い込んだりするだけでも症状が出る場合があるため、食物アレルギーに関して軽視していてはいけません。

アレルゲンの種類

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アレルゲンって具体的に何があるのかな?

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上記の画像のように、食物アレルギー症状を引き起こすアレルゲンはたくさんあります。

特に、卵・牛乳・小麦の割合が高いです。

実際、私が保育現場で出会った食物アレルギーをもつ子どもの中で、上記トップ3がアレルゲンである子は多かったです。

ちなみに、わたしは大人になってから発覚したのですが、『カシューナッツ』アレルギーです。

幼少期は『やまいも』もだめでした。

私はその原材料だけ避ければ大丈夫ですが、特定原材料7品目のアレルゲンだと、様々な加工食品や料理に使われやすいものばかりで大変です。

特に、卵・牛乳・小麦は様々なものに使われていますし、子どもが好きな料理にも使われやすいです。

食物アレルギーのある子は、常日頃、口にする食べ物に気を遣う必要があるのです。

アレルギー代替食について

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代替食ってな〜に?

給食のある保育現場では、食物アレルギーをもつ子どもに対して代替食(だいがえしょく)を提供している園があります。

代替食とは、アレルゲンを除いて作られる食事のことです。

例えば、みんなの大好きな『ハンバーグ』には、特定原材料の卵と牛乳、小麦が使われます。

それを代替食にするならば2つのパターンがあります。

  1. ハンバーグの代わりにウインナーや焼き肉など、全く別のものを提供する
  2. 特定原材料を除去して作られたハンバーグを提供する

上記の2つに関して、それぞれメリットとデメリットが挙げられます。

1. ハンバーグの代わりにウインナーや焼き肉など、全く別のものを提供する

メリット
  • 代替食であることがわかりやすいため、間違いが起こりにくい
  • 代替食を食べる本人が、アレルゲン入りの食べ物でないことがわかり安心して食べられる。
デメリット
  • 代替食は、周りの食べ物との違いがはっきりし過ぎているため、「みんなと違う・・・」と本人が傷つきやすかったり、「〇〇くんだけいいな」と周りの理解が追いつかなかったりする。

メリットは、配る際の間違いが起こりにくいため園側からしたらありがたいです。

しかし、デメリットにあるように、本人がみんなと違う食べ物を出されて寂しいと感じやすいという精神的な問題が挙げられます。

中にはそんなこと気にしないという子もいますが、心のどこかでは、みんなが食べているハンバーグ僕も食べたいなと思っているかもしれません。

2. 特定原材料を除去して作られたハンバーグを提供する

メリット
  • 原材料が違うだけで同じ料理のため、代替食を食べる本人が、みんなと同じハンバーグが食べられると思える。
デメリット
  • 代替食を配る際に、違いがわかりにくいと間違いが起きる可能性がある。
  • 代替食を食べる本人の年齢が上がると、「本当にこれは食べていいのかな?」と、見た目でアレルゲンが入っていないことがわかりにくいため不安になる。

卵や牛乳、小麦を使わずに作られたハンバーグなので、見た目はほとんど他のものと変わりません

しかし、それだと調理室でも間違いが起きる可能性があるため、豆腐ハンバーグにして色の違いがわかるようにするなど、工夫されている園もあります。

代替食を食べる本人にとって、みんなと似ている食べ物を食べられることは嬉しいことだと思いますが、年齢によっては知識も増えるため、「これって本当に食べて大丈夫かな?」と余計に不安を感じることもあります。

私個人の考え方としては、2番のようにアレルゲンを除去してみんなと同じ見た目の料理を提供できることが1番だと思います。

しかし、間違いが起きて本人にアレルゲンの食品を摂取させてしまうのは本当に恐ろしいことなので、忙しい保育現場にとっては、1番のように分かりやすい物の方がありがたいというのが現実です。

保育現場での、代替食の配膳方法について

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代替食を出す時はどのように出してるの?

給食のある保育現場では、食物アレルギーをもつ子どもに対して各園でマニュアルがあります。

万が一、代替食を配らずに通常の給食を出して食べてしまうと大変なことになってしまうからです。

そのため、以下の点について事前準備として配慮しています。

というより、配慮していてほしいところです・・・(願い)。

  • 担任は、クラスでどの子がどんなアレルギーを持っているかを把握しておく
  • 担任は、クラスでどの子が代替食になるのか把握しておく
  • 学年主任は、自分の学年全体の上記の内容を把握しておく
  • 担任は、月毎に代替食のある献立を把握し、部屋に必ず掲示する
  • 別の先生にクラスに入ってもらう可能性がある場合、その先生も上記の内容を把握しておく
  • 園の責任者(園長など)はアレルギーをもつ子について把握する
  • どの職員も、何か起きた場合の対処法を理解しておく
  • 通常の給食を食べる子どもの中で、汁物や牛乳などのこぼしが多過ぎたり、他の子の食事を食べようとしたりするなど個別の配慮が必要な子は、アレルギーをもつ子と同じテーブルになるのを避けるよう配慮する

担任は必ず自分のクラスのアレルギーをもつ子について内容を把握する必要があります。

また、代わりに給食を準備する人が分かりやすいように部屋に代替食に関する情報を掲示しておくことも大事です。

そして、あまり気にしていない方もいるかもしれませんが、代替食が必要な子と同じテーブルに、こぼしが多い子や、勝手に人の食べ物に手をつけようとしたり、いたずらしようとしたりする子を一緒にするのは避けた方がいいです。

アレルゲンのついた箸やスプーンなどが、その子のお皿にある食物についただけでも危険です。

牛乳がアレルゲンの子もいるので、牛乳が入っているコップを同じテーブルの子が倒してしまった場合、触れてしまうだけでも危険な場合もあります。

以上のように、事前に把握したり準備をしておくことは、保育士にとって子どもの命を守る重要な役割だと思います。

では、どのように配膳しているかを以下に示していきます。

  1. 代替食が記入してある献立表を確認し、本日の代替食の内容を把握する
  2. 準備された食事を確認し、献立表に書かれている代替食があるか、目視して中身があっているか確認する
  3. 代替食がある子どもの食事を先に配膳する
  4. 配膳する際に、その子に「卵は入っていないハンバーグだよ」などと声をかけ、安心させる
  5. 代替食の配膳が終わり次第、通常の給食の配膳を行う

この中で一番大切なのは、代替食がある子の食事は最初に配膳を終えておくことです。

これには理由があります。

  • 間違いを起こさないため
  • 途中で用意すると、アレルゲンのついたトングやおたまを使用する危険があるため

このように、初めに配膳しておくことで危険を防ぐことができるのです。

ぽてと
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おかわりの時はどうするの?

おかわりの時は園によって対応が変わります。

代替食をおかわりしたい場合は、小鍋で準備されているような汁物の場合はおかわりがあっても、ハンバーグなどの個数が決められているようなものはおかわりがないこともあります。

また、代替食ではないみんなと同じ食品に関しては、トングやおたまが1つずつ分けられている園であればおかわりをしてもいいと決まっているところもあります。

中には、食物アレルギーに対して徹底している園だと、食物アレルギーのある子はおかわりを禁止しているところもあります。

そのため、最初にどの食品でも周りの子より多めに入れるようにしています。

このように、食物アレルギーに対して配慮することは様々ですが、命に関わることなので、保育士としてはどれだけ忙しくても間違いや事故が起きないよう心がけています。

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万が一、アレルゲンを摂取してしまったらどうなるの?

たまにアレルギーに関する事故がニュースでも取り上げられますよね。

絶対に起きてはいけないですが、起きてしまうこともあるのです。

そのほとんどが、無症状か軽症で済むくらいですが、中には命を失うこともあります。

命を失うほどの重症な症状とは、みなさん1度は聞いたことがあると思います。

アナフィラキシーショックというものです。

アナフィラキシーショックとは

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え、なんか怖い名前だね。

アナフィラキシーショックとは

蕁麻疹や腹痛、嘔吐、呼吸器症状などの症状が複数同時に起きたり、急激に出現したりすることをアナフィラキシーと呼び、さらに呼びかけに応答しないなど意識の低下が見られたり、顔色が異常におかしかったり(真っ青、唇が紫など)する場合をアナフィラキシーショックといい、命に関わる重篤な状態を意味します。

この状態になると命が失われる可能性が高まるため、アナフィラキシーショックになる前である、アナフィラキシーまでに抑える必要があります。

ご家庭でアレルギーのあるお子さんは検査をしてから入園をしている場合がほとんどだと思います。

あるいは、途中からアレルギーが発覚する場合もありますが、それでも必ず何らかの症状が出る場合は検査をするはずです。

その時に、アナフィラキシーの症状が出やすく重症化しやすいタイプのお子さんの場合、エピペンというものを所持する必要があります。

『エピペン』 photoAC

エピペンとは、アナフィラキシーの症状が出た場合に、それを治療するためのアドレナリンが入っている注射針一体型自己注射用製剤です。

これは、医療関係者しか使用できないのではなく、誰でも、子ども自身(本人)でも使用できるものです。

できれば理解している大人が使用するのが望ましいですが、万が一小学生1人であっても、簡単に使用できるような設計になっています。

具体的な使用方法はこちら↓を参考にしてください。

アナフィラキシー時のエピペン®の使用について|WEB版すこやかライフ|独立行政法人環境再生保全機構
アナフィラキシー時のエピペン®の使用についてページです。WEB版慢性閉塞性肺疾患ぜん息・COPDのための生活情報誌すこやかライフ。大気環境・ぜん息などの情報を発信し、患者やその家族の方のサポートを致します。

このエピペンを、保育現場でも使用する可能性は十分にあります。

実際、私もエピペンを必要とする子どもを受け持ったことがありました。

卒園するまで1度も使用することがなかったので安心しましたが、いつどこで間違いが起きるか分からないため、いつもひやひやでした・・・。

それでも大切な知識を得ることができたのは私にとっていい経験となったので、ぜひ、どんな方でも知っていてほしい知識だなと思います。

ちなみに、エピペンの処方が完了したからといって安心していてはいけません。

必ず処方と同時に別の先生に伝え、行動してもらう必要があります。

  • 救急車を呼ぶ
  • 保護者に連絡する
  • 周りの子どもたちを別の部屋に移す

など

園全体で連携を取り、対応していくことが大切です。

このようなエピペンによる治療ができず、アナフィラキシーショックにまで至ってしまうと、命を失う可能性があります。

アナフィラキシーの症状が出てから30分以内にアドレナリンの投与が出来るか否かで、命が助かるかどうかが決まってきます。

つまり、アナフィラキシーショックの症状が出てからエピペンを投与するのでは遅いのです。

だからといって諦めてはいけませんが、それだけ時間との勝負となります。

重要な知識となるので、園でエピペンを扱う必要のある子どもが在園している場合、園全体でエピペンの使用方法を勉強する必要があります。

それはパート職員でも同じだと思うので、みんなで命を守っていけるような体制づくりが大切ですね。

※エピペンの所持が必要かどうかは、お医者さんと相談しましょう。

まとめ

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最初に述べたように、食物アレルギーをもつ子どもは増えており、保育現場でも1つの園に必ずと言っていいほど1人は在園しているはずです。

保育士資格をもつ方々にとって、食物アレルギーに関する知識はある程度持っていると思いますし、エピペンの存在も理解しているかと思います。

それでも、現場で長く働いていてもアナフィラキシー状態の子どもを目の前にする経験は中々ないはずです。

だからこそ、万が一に備え、今一度知識を深めていくことは大切です。

そして、本当に今勤めている園は、食物アレルギーに対してちゃんと対策がされているのか確認することも大切です。

正直、ずさんな現場もあるでしょう。

こんなことくらいと思っている園もあるでしょう。

その考えが、子どもの命を失う原因になるかもしれません。

この記事を見て、少しでも食物アレルギーに関して参考になれば嬉しいです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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